ハナのママです。随分お待たせしました。やっと続編をお届けすることができます。
本館でのディナーの最中もハナのことが心配でしたが、途中でそっと離れまで見に行きました。
部屋の鍵を開けるとハナがピョンピョンして飛びついてきました。
「アレッ、キャリーバッグに入ってたんじゃなかったの?出ちゃあだめなんだよハナちゃん。」
部屋を見回すと様子が変わっています。和室の長座卓が片付けられ、和布団が三組敷かれてあります。キャリーバッグは窓際の棚の上に載せられています。従業員さんがやって来て作業する間の状況は想像するしかありません。
私達が出て行ってからハナは籠バッグの中で不安ながら独りで留守番していたところに、突然知らない人が入ってきて、恐ろしくてバッグから飛び出したのかも知れません。怖がりですがおとなしい性格で、他人に向かっていくことなど考えられませんが、宿の人はおそらく最初はつかまえようとして追いかけたのではなかったでしょうか。部屋の中を歩き回らせてはいけないと言っていたのですから、当然、敷いた布団の上ををグシャグシャ踏まれてはたまらないと考えたでしょう。
「ハナちゃん、ごめんね。怖かったでしょう?もうダイジョーブ!誰も来ないよ。」
「でもねぇ。連れてってあげられないのよ。もう一度バッグに入ってくれないかな?お留守番してくれない?」
ハナは聞きません。私のひざの上から降りようとしません。
いつもお出かけの時は玄関に行って自分から入ろうとするバッグですが、この時ばかりは必死に抵抗して、抱き上げて入れても何とか出ようとしました。バッグがひっくり返らないようにしてから部屋の鍵を閉めました。
「ワオォォォォン!」・・・・・・・・・
「ウゥゥゥゥッゥワォォォォン・・・・・・・・・・・・」・・・・・・・・・・・・
切ないうめき声に後ろ髪を引かれながら部屋を後にして食堂に戻りました。
さて、急いで食事を終えて全員で部屋に戻りましたが、ハナはちょっと変です。
「ハナちゃんごめんね。」と謝りながらひざに抱っこしました。喜んではくれましたが心なしか表情が硬いです。
「トイレに行っとこうね。」と到着した時置いたままの部屋の外のトイレに連れて行きましたが、オシッコは出ません。
寒いからかと思い、部屋の中にトイレを持って入りましたが、やはりしません。
「まだいいか、着いた時出たもんね。」外は雪がしんしんと降り続き冷え込んでいて、道には雪が積もり始めていて散歩は無理のようです。
しばらくして、宿のお兄さんが小さめのケージを持ってきて、友人から借りたのでこれを使うようにと言い残してケージを置いて去りました。
そこまでされては従わないわけにもいかないなあと思い、腹をくくりました。
大晦日の夜が更けてきて、部屋の中央にケージを置いてハナを入れました。
ハナは抵抗はせず、出してくれとせがむこともありませんでした。私達と目を合わさずお尻を向けてウサギのような体形でしゃがんでいました。夜中に何度かトイレをさせようとしましたが駄目でした。
夕食前にはハナも餌を食べ、持参した赤米甘酒のシフォンケーキも喜んでお相伴したのですが、もう食べようとはせず顔をそむけます。
元日の朝になりました。2009年です。
また食堂に行く時間です。今度ばかりは置いていくのはあまりにハナが可愛そうですので、宿のオーナーに交渉してOKをもらいました。車の移動中でも広いから疲れないだろうと用いていた夏用籠バッグでなく、サイズぴったりの冬用の布製のキャリーバッグのほうにハナを入れてチャックを閉め食堂に行きました。これなら他の宿泊客にも気付かれることなく、抜け毛が外に舞って誰かの迷惑になる心配もありません。普段の外出でもそうですが誰一人犬が入ってるなんて気付きません。
昼には宿のオーナーが車で観光案内してくれるはずでしたが、ハナが元気がないので誰も外出する気にならず、露天風呂に入ったり雑誌を読んだりして部屋でハナと過ごし、夕食もハナをバッグに隠して同伴しました。
ハナは朝も昼も夜になっても、まだ何も食べようとはしません。排尿もありません。オシッコが出ないので、寒くて足も濡れるけれども、外を歩かせてみたりしましたがやはり駄目です。
こうなると、今まで何回か経験した膀胱炎がおきてるかなと思いました。こんな時はまず24時間ほど物を食べ ません。時々お腹がキューッと鳴ったりして腹痛が続くこともあります。そして長い時間があいてから血尿が出るのです。そういう時は動物病院に行き検尿してから抗生物質をもらって飲ませると翌日には回復するのが常でした。
何度もハナをなだめすかしながらトイレまで抱いて連れて行ってあげても、シートの上にしゃがみこむばかりで排尿しないことが続くうち日が替わりました。20時間以上経ちましたから、これは朝ごはんを食べてチェックアウトしていたのでは危ないと、真夜中ですが皆で相談の上出立することにしました。
スノータイヤもチェーンも装着してない車に乗り込み、雪が降り続ける中をゆっくりゆっくり慎重に運転して我が家に向かいました。南に下って走ると雪は止み道路も積雪がありません。途中のコンビニに車を停め、駐車場の濡れたアスファルトの上でハナを歩かせてみました。
バンザ~イ!!! 24時間ぶりにオシッコが出ました。外はまだ真っ暗なのですが灯の薄明かりでも血尿に見えました。でも排尿できたのでもう大丈夫です。それからは一目散に車をすっとばして帰宅しました。
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